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ロートターキス飼育テクニック                                                 2022年11月5日改訂

 

今回は当店の大人気品種、そして

世界的人気品種の『ピオワルスキー ロートターキス』の飼育テクニックについて

お話させて頂きたいと思います。

このピオワルスキーロートターキスですが
ディスカスファンのどなたが見ても
『美しい!』と唸ってしまう品種です。
2009年日本に輸入、紹介して大ブレイクいたしました。

その人気ぶりを見た他のディスカスショップが
それまでは脚光を浴びていなかったアジアブリードのレッドターコイズを
ドイツ語に言い変え『ロートターキス』と称して販売をし始めたほどです。
それほど本種のディスカスマーケットへの影響は強く
また多くのディスファンを虜にした品種でもあります。

どなたもこの姿を見ると、ピオワルスキーロートターキスを飼育してみたい!と
思われるでしょうが、しかし!
このロートターキス、かつては非常に飼育難度が高いディスカスでしたが
しかし現在では、誰でも他のディスカスと同じように飼育を楽しめるようになっております。

 

元々このロートターキスは、ピオワルスキー氏が
ワイルドディスカスのジャタプー産(♂)とクリペア産(♀)の1ペアを交配して
作り出したピュアなワイルドブラッド由来の品種。
私が初輸入した時で第5&6世代。
さらに近親交配を重ねた個体達を扱っていた当時は
非常にデリケートな種だと思わせる部分がございました。
その美しさと併せ持つ飼育難度の高さにより、長く飼育維持できないほどでした。
当の私も対応策を見つけるのに、様々な実験・検証を行っていたのを覚えております。

かつて香港の有名なブリーダーのある品種が
非常に水質にうるさく、これが上手に飼育できれば君も上級者だ!という
ディスカスがおりました。もしかしたら、当時のロートターキスも
同じような傾向にあったのかもしれません。

では、なぜ現在はロートターキスは飼育しやすくなったのでしょうか?
それには複数の要因があると考えております。
1つはロートターキスのブリーダー、ピオワルスキー氏の飼育法が
非常にシンプルになった事。以
さらに他のブリーダーからワイルドとロートターキスの交雑個体が供給されるようになり
インブリードの頻度が下がった事。
もう一つは日本国内でのディスカス飼育法が徐々に
シンプルでディスカスの飼育に適したものに変化してきたこと。
この辺りではないかと思います。

 

こちらではロートターキスの飼育テクニックと題して
お話を進めてまいりますが、実はこちらで紹介する

ロートターキス飼育テクニックは全てのディスカス

さらに他の観賞魚にも通用する飼育環境構築法を紹介するものです。

是非最後までご覧になっていただければと思います。

ここで話をディスカスとセットで語られることが多い”水質”について
お話してみたいと思います。

ディスカス飼育は難しい、特にドイツディスカスや
一部のブリーダーの高価なディスカスはもっと難しいと言われてきました。
そして現在でもディスカス飼育は難しいと言われる方がいらっしゃいます。
では、なぜ飼育が難しいのか?と問いますと
”ディスカスは水質にうるさい魚だと聞いている、思っている”と皆様おっしゃいます。
そしてディスカスは弱酸性の軟水で飼育するのが好ましいと言われております。


まず、”ディスカスは水質にうるさい魚である”の水質とは
水のどのような質の水を指すのでしょうか?
そう言いますと、皆様は水質を推し量る指標として
『PH=ペーハー』とか『導電率』とかの言葉をご想像しますのでしょう。
GH=総硬度、KH=炭酸塩硬度も大事では?とも言われる方もいらっしゃると思います。

果たしてこれらの水質を数値で表されるものが
ディスカスを飼育にする上で重要なものなのでしょうか?
果たしてそれぞれの数値のどの範囲がディスカス飼育に適していて
その範囲内の水は、良い水質の水と言って良いものなのでしょうか?
さらにおその数値範囲内に収めている水であれば
ディスカスをずっと上手く飼育できるのでしょうか?

ご存じの方は、もうお分かりでしょうが、そうとも言える部分もあるけど
決して全てそうとも言い切れないということになります。

 

ワイルドディスカスの話をします。
実はアマゾンに生息するディスカス達は様々な水系、支流、または湖に生息していて
その水のPH、導電率、硬度などはもちろんバラバラ。
ちょっと散歩程度に泳いで川の合流点に行けば
一気に水質のパラメーターは変わることもあるでしょう。
アマゾン河の水位は雨季と乾季で数メートル変わるところもあるとかで
もちろんその激しい変化の中で水の質も変わることでしょう。
水の中に含まれているミネラル分も様々でしょう。
そのワイルドディスカスが地球の反対側の日本にやってきて
日本の水道水に入れても何とか飼育できていることは
驚くべきことではないでしょうか?

またその日本国内でも、水道の蛇口から出る水の導電率、GH、KHなどは
皆様が想像しているよりも結構バラバラ。
外国のブリーダーの水などはさらに大きく異なっております。
欧州の一部のディスカスブリーダー水は
弱アルカリ性の非常に硬度の高い硬水でした。

飼育環境下でも、PHは一日の間に上がったり、下がったり、まったく一定ではありません。
PH5ぐらいになった飼育水に、ゆっくり入れてやればPH8以上の水換え用の水をいれても
ディスカスは全く平気に泳いでおります。

実はディスカスは、慣れてしまえば

かなりの広範囲のPH帯、硬度の水でも過ごすことができるし
水質の変化にも柔軟に対応できる非常に順応力の高い魚なんです。

ですので、もしディスカスが”水質にうるさい魚である”のならば?
またそのうるささが原因で飼育が難しいと言われているのであれば?

問わる水質はPHや導電率や硬度で指し示されるものではないと考えられるわけです。

今回私がお話するロートターキスならびにワイルドディスカスそして全てのディスカスを
活き活きと飼育するために飼育者が理解し、作り上げていかなければならないもの
それは『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境だと言えます。

そう数値で表す事ができる水質ではなく”水の環境”なのです。
その環境を作る要となるのは、濾過機能になります。

 

なぁ~んだ、濾過か!それなら大丈夫!
うちは外部フィルター、上部フィルター、そしてスポンジフィルターなど
色々つけているから!とか
うちはオーバーフローで濾材は○○でウン十㎏入れているから大丈夫!とか。
皆様、濾過といえばつい濾過機の大きさ、種類、濾材の性能、量に目を向けがちです。
しかし皆様よく考えてください。
濾過器は単なる箱や筒?濾材は窯業製品、ガラスやスポンジという単なる素材にしかすぎません。

『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』のというのは、濾過機に生息する
菌類の種類、数のバランスが、時間をかけて水槽環境にマッチし、活動することで
ディスカスが代謝で排出するアンモニア
水槽に投げ込まれる大量の餌が水に溶け込んだもの、残り餌を
ディスカスにとって無害なものへスムーズに変換する状態を指します。

実は、これがディスカス飼育において一番大事な事で
その環境づくりをするには高価、大規模の濾過機の方がふさわしとか
ドイツ製で良いとか、濾材のスペックが良い方が好ましいとかは
あまり関係と無いといっても過言ではないのです。

ではその『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境はどのように作り出すのか?という話になります。
全く難しい話ではありません。
実証がともなった内容をお話しします。

 

当店では、ご存じの通り
善玉菌ブレンド液『バイオエース』と即効性善玉バクテリアのPSBを使用しております。
商品名で紹介すると誤解を招きそうですが
どちらも、農業、漁業、環境汚染の改善に使用されている活きている菌類で
そのままダウンスケールして製品化されたです。
バイオエースは様々な菌類のブレンド液で、PSBは光合成細菌の一種です。
畑ををより野菜にとって良い土壌にするため
一度ダメになった養殖場の改訂環境を改善するため
人が汚染した環境を他の生き物が生息できるように改善するために
運用されている菌類を観賞魚の水槽に使用することで
クオリティの高い濾過環境を手軽に作り出すことが出来るのです。

では、新規に立ち上げた水槽に
バイトエースとPSBを使用すればすぐに
ロートターキスを、ワイルドディスカスを
そして全てのディスカスを上手く飼育できるのか?と言えば
そういう事では決してございません。
といいますのも、実はクオリティの高い濾過環境というのは
一朝一夕で出来上がるものではないからです。

バクテリアの素というのは、あくまで素です。
その数は水槽内でディスカスを飼育するのに必要な
バクテリアの総数に遠く及ばないものです。
バクテリアの素のバクテリア達が、ディスカスが吐き出すアンモニア、投入される餌の
タンパク質や脂質、炭水化物を摂取しながら活性化し
やがて増殖していきます。
そして時間をかけてゆっくりと確実に増えていき
いずれその水槽に必要十分な数にまで蔵宿するのです。

各飼育者によって水槽に入れる餌の種類も違いますでしょうから
水槽内で増えるバクテリアの種類、構成比も異なってくるでしょう。
またあるバクテリアが食べたものを
違うものに変換し排出すれば、その排出物を餌とするバクテリアも出現してくることでしょう。
様々なバクテリアが其々の環境に合った形で増殖しながら
バランスと取っていき、各水槽でオリジナルの濾過環境が時間をかけて完成していくのです。

 

ここで写真です。
どのような状況が『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境なのか?
水は無色透明ですので
『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出す水と
そうでない水の見分けは
出来ないようにように思われるかもしれませんが
実は意外と容易にできるのです。
実際の水槽の写真でご覧頂きます。

写真1 ガラス面の水面写真


この水槽はまだ『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が
出来上がってない状態です。
水面に気泡がございます。
分解されていないタンパク、脂肪が水に溶けこんで残留し浮いて泡を出しているのでしょう。

写真2 ガラス面の水面写真


こちらがバランスが取れたクオリティの高い濾過環境の水面です。ご覧ください。
全く気泡がございませんね。
水に餌から溶出したタンパク&脂肪が充分に分解されている状態です。

また水面に浮かぶエアレーションの気泡のはじけ方にも特徴がございます。

写真3 気泡の状態

写真4 気泡がはじけた後


このように大きな気泡がはじけた後、細かい気泡が水面に残ります。
少し水に粘りのようなものがあるようです。
これはバクテリアによってタンパク、脂肪、炭水化物などが
多少の粘りがある物へと変化したためでしょう。

写真5 分解された糞の様子。


バクテリアによりディスカスの糞までも分解され
粉々になり消えていきます。
糞のほとんどは繊維質で、有機質つなぎとなって
形となっています。その有機質が分解されるため
糞はばらばらの繊維質のみになり
濾過機に吸い込まれて消えていくのです。

写真は粉々になった糞の様子です。
この後跡形もなくなってしまいます。

写真6 バランスとれたクオリティの高い濾過環境の水槽の様子。


有機質がディスカスにとって何等かの有害な物質ではなく
ディスカスにとって住みに心地よい環境へ変化した結果
デイスカスはリラックスし、美しく発色し始めます。
ご覧の通り小汚い水槽ですが、ロートターキスが乱舞しております。

水槽が緑色のコケ(緑藻)に覆われております。

写真7&8
水槽側面の緑藻の様子。

バランスのとれたクオリティの高い濾過環境と緑藻との
因果関係は私には分かりません。
しかし経験上、この状況の水槽環境では
非常に魚は『調子が良い』のです。
この状況は褐藻(茶ゴケ)が生えている水槽よりも
魚の活性が高くなります。

 

動画 スポンジフィルターのメンテナンス編


スポンジから出る汚れの色を見てください。乳白色ではなく茶色です。
糞が分解され尽くして繊維質だけになり
スポンジに吸い込まれ蓄積しているのが分かります。


さて、写真と動画で紹介したこの状況に
一体どれぐらいの時間をかければなるのか?
全く新しく設置した水槽から
バイオエース、PSBなどを使用して大体2か月以上かかります。
ですので、推奨するバクテリア類を使用しても
『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境は、すぐには出来ないのです。


実は、もっと短い時間でこの状況を作り出す奥の手がございます。
それは、高いレベルでバランスがとれたクオリティの高い濾過環境の濾材を
移植して使用するのことです。

一番簡単な方法はスポンジフィルターです。
そのスポンジを新設の水槽環境にて使用することで、
『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境づくりに要する時間は大幅に短縮されます。
ですので、一度完成した環境が出来ましたら
そちらの濾材大事扱ってください。
スポンジ濾過機のスポンジは特に良いバクテリアの種となります。


では、改めて新規水槽を立ち上げ
『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境を作る方法をご紹介します。

まず新設した水槽にバイオエースを規定量(100Lに対して10cc)入れます。
水槽が白濁しますので
それまでは生体を入れず、濾過器とエアレーションを回しておきます。

まずは消化濾過ができるまで。水が透明になりましたら生体を入れてください。
魚をいれても2~3日は餌を入れないでください。
魚がおちついてきたら
赤虫を与え始めてください。
魚入れた日から
バイオエース1に対しPSB3量をブレンドした液
(100Lに対しバイオエース10cc & PSB30cc)を
3~4日間連続で水槽に投与し、1日間はバクテリア入れず
その翌日は水槽の半量換水いたします。
餌も1週間は少な目に、あくまで少な目に入れて行きます。

 

この工程をまる2週間続け3週目に入りますと
徐々に様々なバクテリアが増えてきております。
2週間前後で、アンモニアと亜硝酸チェックなどをしてもらいますと
ここで亜硝酸が出ているのではないかと思われますが
3週目の終わり、まる一か月ぐらいになると
亜硝酸が検知しなくなり、硝酸塩のみが
水槽内に蓄積される状態になります。

ここで濾過の基礎段階、硝化濾過が完成します。
消化濾過が完成したら飼料のメニューに
ごくごく少量のハンバーグや乾燥フードを加えてください。

 

これからが今回ご紹介した
ロートターキス、ワイルドディスカスをはじめ
すべてのディスカスを快適に飼育できる
『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境を実現する段階へと進んで行きます。

基礎の濾過環境は出来上がっておりますので
あとはその濾過バランスが成熟するのを
ひたすら給餌、水換え、バクテリア液の添加を繰り返しながら
2か月間待つだけです。

スポンジフィルターを使用している場合は
途中スポンジを軽く絞ってみて
どのような色の汚れが出てくるのかご覧になってください。
乳白色の汚れが出れば、まだ濾過は未完成状況で
動画でご覧にただいた茶色の汚れが出れば
濾過のクオリティが高くなってきている証拠です。
あと、スポンジの触った感触も
油っぽくヌタヌタしていればNG、スカスカして油っぽさがなければ大丈夫です。

非常に良好な状況は香りで分かります。
スポンジを軽く絞って匂いを嗅いでみてください。
不快な匂いがすればそこそこの状態、不快に感じない匂いがするようになれば
とても良い環境であると言えます。

どんな時も、スポンジフィルターのスポンジが
汚れで詰まっている様子があれば
軽く飼育水で揉んで頂き、通水性を高めてください。
通水性を失うとスポンジフィルターは一気に悪い菌類の温床になります。

 

さていかがでしたでしょうか?
魅力的なジャーマンディスカス
ピオワルスキーロートターキスのご紹介から
全てのディスカスが快適に飼育できる方法をご紹介させていただきました。
『バランスが取れ、クオリティの高い濾過』が作り出すディスカスにとって 
有害性の低い水環境が完成すればディスカスは
臆病さもなくなり、驚くほど美しく発色し始めます。
成魚の発情も始まり、また稚魚、幼魚も健康にスクスク育成することが出来ますよ。


では皆様、世界最高峰のディスカス
ピオワルスキーロートターキスを是非飼育してみてください!!

重複する部分もかなりありますが

 

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上記の記事も合わせて是非ご覧ください。

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